枕草子
小学館から出版されている現代語訳付きの「枕草子」を今ちょうど半分くらい読んだ。
「春はあけぼの...」のくだりは学校でも習ったがそれ以外の部分が気になって読み始めた。
自然を愛でている部分、宮廷や貴族たちの間での事柄について描写されている部分を読んでいると別世界の出来事をぼんやりと想像できて楽しいけど、時々「ちょっとしたあるあるネタ」みたいな部分が出てくるから親近感もわく。
清少納言が一千年以上前の人とは言え、同じ人間、同じ女性なんだな~と共感するところが節々にあって面白い。
以下、今のところ気に入っている3つ。
「にくきもの(第二六段)」(pp. 69-71)
「にくらしいもの(中略)硯に髪の毛が入って磨られているの。」
(「にくきもの(中略)硯に髪の入りて磨られたる。」)
どうしてそこにってところに髪の毛は入る。
「心ときめきするもの(第二七段)」(pp. 76-77)
「胸がどきどきするもの(中略)頭を洗い、化粧をして、香がよく染みている着物などを着ているの。そういうときは、取り立てて見てくれる人もないような所ででも、自分の心の中はやはりとても明るく快い。」
(「心ときめきするもの(中略)頭洗ひ化粧じて、香ばしうしみたる衣など着たる。ことに見る人なき所にても、心のうちは、なほいとをかし。」)
身だしなみを整えると勝手に気分は上がる。
「ありがたきもの(第七二段)」(pp. 94-95)
「めったにないもの(中略)男や女の間柄はいまさら言うまい、女どうしでも深い約束をして親しくしている人で、終りまで仲のよい人は、めったにない。」
(「ありがたきもの(中略)男女をばいはじ、女どちも、契り深くて語らふ人の、末までなかよき人かたし。」)
女の友人関係難しい。
こういうところを読むと「清少納言」じゃなくて「諾子ちゃん」と呼びたくなるくらい心理的距離が縮まる気がする。
「春はあけぼの」だけじゃなくてこういう人間っぽいところももっと前から知っておけばよかった。知れてよかった。