ご満悦ブログ

日記とつぶやきの間。その日の頭の中のハイライト。

中学3年生の自習を見ていて思ったこと

数年前からある公立中学校で自習支援のボランティアをしている。先週やっと今年度入ってから初めて参加した。

半年前に学年が1つ上がった生徒たちが元気そうでほっとしたと同時に、この数か月にわたる「自粛期間」が彼らにとってどれほど長い時間なのかも実感した。

 

国語の時間に参加していた別のボランティアさんが衝撃的なことを教えて下さった。

都立高校入試の出題範囲から「中学3年生の教科書で学習する漢字」は除外されたが、使用する教科書によってその漢字を学ぶ学年は異なるということ。

 

教育委員会が7月3日に公開した「令和3年度都立高校入試における出題範囲等について」を見ると、たしかにそう書いてある。

指導要領も見てみると、中学では小学校で習った漢字に加えて常用漢字の「大体」を使えるようになるべきらしい。

漢字の読みの指導については,小学校学習指導要領第 2 章第 1 節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字 1,026 字に加え,中学校修了までに学年別漢字配当表以外の常用漢字の大体を読むことを求めている。
漢字の書きの指導については,学年別漢字配当表の漢字 1,026 字について,第2 学年までに文や文章の中で使うこととし,第 3 学年では,文や文章の中で使い慣れることとしている。

「【国語編】中学校学習指導要領 - 文部科学省」から引用)

どのみち高校やその先で必要となるだろうからとにかく今のうちに全部覚えとけば安心...なんだけど、それが中学生全員にとって容易いこととは限らない。

今大人になってから中学3年生の漢字プリントを見ればどれもこれも「知ってて当たり前」で、それが難しく見えた時のことが思い出しにくい。

でもその教室に来る中学生たちを見ていると思い出す。新しく出てきた漢字を一画も間違えずに書いたり、正しい読みを書けるようになることがどれほど大変だったのか。

 

国語の時間中、文法に関する問題がよくわからなくて勘で埋める生徒も見かける。それも漢字と同じように、難しくて苦戦した体験を忘れやすい分野かもしれない。

ある生徒は「いやあ、日本語はアラビア語よりも難しいんですよ」って言っていた。

その時は笑ったけど、客観視できるかどうかに関しては、日本語ネイティブにとって確かに「日本語はアラビア語よりも難しい」と思う。

 

そう書くと一瞬矛盾して見えるかもしれないけど、英語もまた皆簡単というわけにはいかない。

ただ、英語そのものが難しいというだけじゃなくて、問題の意図がよくわからなかったり、書くべき英文の訳文が不自然でわからなかったというのもよく見かける。

 

こういう状況に遭遇した時は問題の意図を説明して、英語ができないって意味じゃないから全然落ち込む必要は無いよとか言ってフォローするけど、我ながらちょっと虚しくなる。

試験のためだけにパターンを覚えさせられるのってあまり楽しくないよね、って心の中では言ってる。英語の勉強だけど、試験に出てくる日本語の言い回しの勉強でもあることのモヤモヤ感が残る。

でも月数回の自習ボランティアという立場で言えることは限られている。

 

その学校がある地域にはいくつもの大手塾があって、ボランティアの帰り道を歩いている時、その塾の生徒たちとボランティアで見た生徒たちのレベル差について考えてちょっとブルーな気持ちになる。この同じ町の中に、トップ校を目指して勉強を進める15歳もいれば、"is"と"it"が混同して悩んでいる15歳もいる。

どちらもそれぞれ頑張っているんだろうけど、このコロナ禍でどうしても個人の努力だけじゃどうしようもない差がひたすら広がっているように思えて心苦しい。